原始反射ってなに?脳の発達と統合のメカニズム、支援方法について

発達障害児は、自身の感情をうまくコントロールできず、なかなか集団生活にうまく溶け込むことができないため、生きづらさを感じます。

その理由として、『原始反射』を保持しているからだと言われます。

そのため、原始反射とはどのようなものか理解し、遊びを通じて自然に解消できるよう、支援することが大切です。

原始反射ってなに?脳の発達と生きづらさの原因

学習や振る舞いに影響を及ぼす理由に『原始反射』が関係していると言われますが、そもそもどのようなものなのでしょうか。

脳の発達をはじめ、原始反射がなぜ存在するのか、分かりやすく解説していきましょう。

脳の発達の特徴と原始反射

生まれてすぐの赤ちゃんは、まだしっかりと脳が発達しておらず、自分自身の命を守るために必要な部分だけが動いている状態です。

そのため、自分から何か行動するというよりは、何かしら身体に刺激を受けた際に、無意識的に反応することができる『反射』によって、対応しているのです。

代表的な動きとして、

・手に触れたら、ぎゅっと握り返してくれる(把握反射)
・唇におっぱいが触れると吸い続ける(吸いつき反射)

などといったものがあり、それらを『原始反射』と呼んでいます。

原始反射はなぜ生きにくさの原因になるの?

原始反射は、赤ちゃんが成長するために必要なもので、自らの命を守るため、また将来の学びや生活のために重要な役割を果たしているのです。

では、なぜ発達障害児にとって、原始反射が生きにくさの原因になってしまうのでしょうか。

大脳が成長するに連れて目的に沿った行動ができるようになりますので、無意識にお母さんのおっぱいを飲んだり手を握ったりする原始反射は必要なくなります。

ただ、大脳の発達が遅れていることや、うまく機能しない場合には、何かの刺激で原始反射が現れてしまい、突発的に突進したり、集中できずに手を叩き出したり、反射的な行動を取ってしまうのです。

そのため、目的に沿った行動や周りに適応できるように大脳の発達を促し、反射的な行動を減らしていく支援が必要になります。

原始反射による行動を減らすには、統合することによって解消できると考えられています。

原始反射の統合とは~メカニズムや支援方法について

私たちは成長するに連れて、原始反射の必要性は低くなり、すべての情報は大脳に集められて統合されることになります。

大脳が発達すると、目的に沿って行動ができるようになり、目的に沿わない反射的な行動は抑制されることになります。

大脳の発達が遅れている場合などには、反射的行動が出てしまうことがあるのですが、目的に沿った行動、周りに適応する行動を促せば、常同行動や反射的行動を減らすことができます。

その支援方法のことを『原始反射の統合』と呼んでいます。

原始反射の統合のメカニズム

大脳が発達すると、手や足、指など細かい部位でもコントロールできるようになります。

これは脳の機能分化と呼ばれるもので、例えば、手に触れれば握る『把握反射』を繰り返すことによって、自分自身で握る動作をコントロールできるようになるのです。

このように、大脳が成長し、原始反射が抑えられていくことを『行動の組み替え』と呼んでいます。

一般的に原始反射は、おおむね1歳までの間に消失するのですが、発達障害によって行動の組み替えがうまくいかないと、原始反射が残ってしまうことになります。

反射は身体に生じる反応であるため、自分の意思や感情とは関係なく生じてしまいます。

それが、生きづらさや学びづらさを感じることに繋がります。

しかしこの行動の組み替えができるように、中枢神経系の発達を促すようにすれば、大脳によって反射は抑制されるようになるのです。

原始反射を統合するには療育やエクササイズが大事

冒頭からお伝えしている通り、発達障害児は原始反射が残っていて、自分の意思や感情とは関係なく反応してしまい、身体がうまく扱えなかったり、不安や恐怖を感じやすかったりします。

行動の組み替えがうまくいくように、療育やエクササイズなどを通して支援することが大切です。

例えば、バランスボールを使って、上ったり跳ねたり座ったりしてバランスを取るようにすると、自然な体の動きによって行動の組み替えが促されます。

また、その際には身体が緊張していることが多いので、安心安全の環境下での取り組みがとても大切になります。

さらに、肩や背中などのタッチケアに意識的に取り組むと、身体の緊張を緩めることができるのでおすすめです。

原始反射まとめ

原始反射について、脳の発達をもとにしてご紹介しました。

発達障害児は、原始反射が残っていることによって、身体や感情をうまくコントロールできず、生きづらさや学びづらさを感じます。

しかし、原始反射を大脳に統合されるよう、行動の組み替えを促すために、支援方法である療育やエクササイズに取り組んでいれば、自然に反射的行動の緩和が期待されるのです。