応用行動分析(ABA)ってなに?子どもの問題行動に着目する支援方法
子どもの問題行動にお悩みの方は多いのではないでしょうか。
心理学には、子どもの問題行動を心に着目して解決しようとする『応用行動分析(ABA)』という分析方法があります。
ここでは、応用行動分析(ABA)を中心に、子どもの行動に目を向けてみて、どのように解決していけばいいか、詳しくお伝えしていきましょう。
応用行動分析学(ABA)ってなに?
行動を分析する『行動分析学』という学問があり、その学問を子どもの行動に着目し、支援に活かしていこうする考え方として、『応用行動分析』があります。
子どもの問題行動がなかなかなくならず、対応に悩んでいる方は多いでしょう。
応用行動分析が、このような問題行動にどのように活用されているのかご紹介しましょう。
応用行動分析のABC理論
応用行動分析では、子どもの問題行動に対し、ABC理論と呼ばれる分析が用いられます。
ABC理論とは、
- きっかけ(Antecedent)
- 行動(Behavior)
- 結果(Consequence)
といった英単語の頭文字を取ったもの。
それらに着目しながら子どもへの理解を深めて、問題を解決していこうとするものなのです。
ABC理論を用いた分析方法
応用行動分析においては、すべての行動にはきっかけ(Antecedent)によって行動(Behavior)が引き起こされ、そこから得られた結果(Consequence)から、次の行動に結び付いていくと考えます。
子どもがお店で欲しいオヤツを見つけて、「買って欲しい」と泣き叫んでしまった、という状況を考えてみましょう。
- きっかけ(Antecedent):お店で欲しいオヤツを見つけた
- 行動(Behavior):「買って欲しい」と泣き叫んだ
- 結果(Consequence):買ってもらった
この『結果(Consequence)』の部分に着目すると、大人にとっては泣き叫ぶのをやめてもらうために、しぶしぶ購入したのかもしれません。
ただ、子どもにとっては良い結果が得られた訳ですから、次に同じようなシチュエーションがあった場合に、同じ行動を取るようになるのです。
問題行動をなくすには~応用行動分析学の視点
応用行動分析において、問題行動をなくしていくためには、『きっかけ(Antecedent)』から『結果(Consequence)』を変えれば良いと考えます。
例えば、上記のオヤツの状況で、『きっかけ(Antecedent)』を変える方法としては、
- オヤツの売り場にはいかない
- 事前にルールを決めて、確認しておく
といった対応が考えられます。
オヤツの売り場に行く場合の事前ルールとしては、
- 泣かなかったら1つ買える
- 3回に1回は買ってもいい
などといったものが考えられ、それらを守る、望ましい行動があった場合にはしっかりと褒めて、いい結果をどんどん強化していくのです。
もちろん、そのような取り組みの中でも、泣き叫ぶような状況が起きるかもしれませんが、そこは大人としても踏ん張りどころであり、褒める機会を増やしていくことが大切です。
我慢ができたらしっかりと褒めるのはもちろん、最初の段階で「約束をやってみようね」などと、事前ルールを『きっかけ(Antecedent)』にすると良いでしょう。
そこで頑張って集中できたら、「できたね!」「良かったね!」「楽しかったね!」「もう一息だね」などと、良い結果に結び付けていくようにするのです。
良い結果が得られれば、今後も同じ行動が起こるため、良い行動を増やしたい時には、このような取り組みがおすすめです。
その行動をするのはなぜ
応用行動分析では、行動に着目し、何がその行動に機能しているか分析していきます。
行動に対する機能として、
①欲しい物(泣き叫んだら買ってもらえる、など)
②注目(赤ちゃん返りなど、自分に注目してほしい、など)
③逃避・回避(宿題をしたくないから遊びに行く、など)
④感覚(やたらと動き回る、など)
が得られるためであると考えられています。
また、これら4つの機能は、単独で機能している訳ではなく、複合していることがほとんどです。
応用行動分析まとめ
応用行動分析について、ABC理論から事例を用いてご紹介しました。
応用行動分析の考え方を『子育ての礎』としている方は少なくありません。
ABC理論は、人間の行動心理の原理原則に沿っているものですので、とてもシンプルで理解しやすいのではないでしょうか。
応用行動分析の考え方を元として、継続的な介入の一つの過程、結果として捉えたら良いのかなと感じています。