ADHD(注意欠如多動症)の子供への具体的な支援方法~視覚やスケジュール、行動に着目してみよう!
みなさん、こんにちは。
親子発達応援roomSaule(そーる)保健師のささきみかです。
『ADHD(注意欠如多動症)』とは、
- 「不注意さ(集中力のなさ)」
- 「多動性(じっとしていられない)」
- 「衝動性(思いついたら行動してしまう」
といった症状が現れる発達障害です。
ただ、「不注意さ」だけがみられることや、2つの特徴、3つすべての特徴がみられるなど、お子さまによって特性はさまざまです。
そのため、ADHDのお子さまに接する場合には、どのような特徴があるのか見極めたうえで、環境や行動に着目して適切に関わることや、お子さまにあった直接的あるいは間接的な支援が大切であると考えています。
ADHDの子供への具体的な支援方法
視覚やスケジュールなど環境に着目した支援方法
- 刺激の少ない環境にする
- 時間を区切る
- 小さな課題を少しずつ与える
- 視覚的に伝える
ADHDのお子さまが暮らしやすいものにするためには、取り巻く環境を見直し、少しでも集中しやすくなるように整えることが大切であると考えています。
例えば、パーテーションを利用することや、作業のときの個室はポスターなどもない無機質な空間にしておくような取り組みです。
どうしても見たものに引っ張られやすい特徴があるからです。
そのため、実際の支援においても集中してほしいときには周りが見えないようにし、4畳半くらいの狭い個室で机といす、白い壁のみという場所で療育を実施してきました。
また、勉強や作業を、10分ごとに休憩を入れるなど時間を区切ることや、小さな課題を少しずつ与えることで集中しやすくなります。
タイマーや砂時計などを活用すれば、視覚的にわかりやすくなるため、うまく課題に向かうことができます。
多動の特徴があるお子さまに対しては、体操や体を動かす時間をこまめに設定しておくことも有効でしょう。
さらに、絵カードやスケジュールなどのように、視覚的にわかりやすく伝えることも、興味を持って集中するためには大切なことなのです。
行動に着目した支援方法
- 小さなことを褒めていく
- 子どもが関心あることに紐づける
- 短く具体的に肯定的に伝える
- 声を荒げず、近づいて淡々と静かに話しかける
- 気持ちを受け入れる
ADHDのお子さまには、行動に対する支援も積極的に行います。
好ましい行動が増えるように、小さなことをどんどん褒めていくようにします。
例えば、何か好ましい行動ができたときにはシールを貼っていき、10個貯まったらご褒美がもらえるようなことに取り組んでいきます。
これを『良い行動の強化』と呼んでおり、視覚的にわかりやすく行動とご褒美が紐づけできるのです。
また、お子さまの関心を持っていることに紐づけするような取り組みも有効です。
例えば、恐竜が好きなお子さまに対して恐竜で数の練習をすることや、シールに興味があるお子さまにシールを貼って形を作っていくような取り組みによって、勉強への集中が少しずつできるようになります。
また、減らしたい行動に対しては、強く叱って押さえつけるようなことはせずに、伝え方を工夫し、代わりになる行動を促すようにします。
例えば、多動のお子さまがじっと座っていられない場合でも、「きちんと静かに座っていなきゃだめだよ」と否定的に伝えるのではなく、「イスに座って膝に手を置きましょう」というように肯定的に伝えるようにします。
この際には、短く具体的に伝えることが大切で、声を荒げず、近寄って静かに淡々と話しかけるようにしましょう。
お子さまの気持ちを受け入れるために、「〇〇しちゃだめ」ではなく、「〇〇したかったんだね」と肯定的に伝えるようにし、「じゃあ今度からかわりに△△してみよう」などと、代替行動をセットにしておくことも有効です。
どうしても好ましくない行動が続くときには、無理に関わるのではなく、知らんぷりしてしまうことも大切でしょう。
その代わり、好ましい行動のときにはすかさず褒めるといった、意識的にメリハリをつけて褒めるのを繰り返すことは、支援方法としてとても重要です。
多動が落ち着く『タッチケア』がおすすめ
多動が落ち着くようにするためには『タッチケア』がおすすめです。
- 親子の絆が深まる
- 笑顔が増える
- 人に対して興味を持てるようになる
- 不安が鎮まる
- 共感する力が高まる
などといった効果が期待できると考えています。
タッチケアは、お子さまだけではなくタッチする側にも、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」と呼ばれる脳内ホルモンが分泌されると言われます。
家族みんなでタッチケアを楽しんで幸せホルモンに満たされ、お互いが笑顔で過ごせるようになればとても素敵ですよね。
実際、支援の場においても、背中や足の裏、太もものタッチや、肩に手を当てて重力を感じてもらって地に足がつく感覚を育てることで、じっとできる時間、止まる頻度が増えています。
ADHD(注意欠如多動症)の支援方法まとめ
ADHDのお子さまに対する支援方法についてお伝えしました。
お子さまの視覚やスケジュール、行動に着目して支援することが、好ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らすためにも有効です。
また、今回ご紹介したタッチケアも実践してみてくださいね。